7月16日、越谷で開催された埼玉県獣医師会東支部学術講習会に参加しました。
テーマは「猫の消化器型リンパ腫と鼻腔内リンパ腫の攻略法」でした。講師は言わずと知れた、米国獣医内科学専門医であり、日本小動物がんセンター長の小林哲也先生です。
猫ちゃんのリンパ腫は無症状で発見されることが多いワンちゃんのリンパ腫と異なり、具合が悪くなってからでないとなかなか診断されません。病型(どの場所に発生するか)により差がありますが、特徴的な症状に乏しいことが多く、しっかり鑑別診断(他の疾患を除外)を行い、生検(組織を採取して行う検査)まで踏み込み、やっと診断ができることが少なくない病気です。
近年、ネコちゃんのリンパ腫では、小腸や腸間膜リンパ節に病変を形成する「消化器型」が最も多くみられるようになりました。
消化器型リンパ腫は、高齢のネコちゃんでの発生が多く、嘔吐や体重減少といった主訴で来院されることがほとんどですが、嘔吐や体重減少はさまざまな病気でみられる症状であり、症状のみで判断することが出来ませんので、前述のように様々な検査を行い総合的に診断する必要があります。
治療に関しては、ケースバイケースで、基本的には抗がん剤を主体とした化学療法が適応となりますが、腫瘍の発生場所や特徴により外科手術が必要となるケースもあります。
また、積極的な抗がん剤治療ではなく、マイルドな薬による治療で長生き出来るタイプもありますので、しっかりと診断して治療を実施することが望まれます。
今回のセミナーでは、診断アプローチと治療に関する知識をアップデートすることが出来ました。今後の診療に役立てていきたいと思います。