本日は診療終了後に半蔵門でセミナーに参加しました。テーマは「口腔内疾患/腫瘍を中心した画像診断、臨床病理、病理」です。各分野のスペシャリストの先生3名がコラボするという豪華なセミナーでした。
口腔内腫瘍を中心に、その肉眼的特徴、画像診断所見、細胞診、そして病理所見を学びました。まさに臨床の現場での思考に沿った有意義な内容でした。
口腔内に発生した腫瘍は、その肉眼所見(見た目の色や、形、質感など)から、ある程度予測することも可能です(もちろん確定は出来ません)。その上で、正確な診断を下すために各種検査を実施します。
腫瘍が骨まで広がってはいないか
この評価にはX線検査やCT検査が必要であり、検査結果が治療方針に大きくかかわってきますので必須の検査です。
リンパ節や肺に転移を起こしていないか
この評価にはX線検査やCT検査に加えて、リンパ節の細胞診という検査が必要となります。細胞診は細い針をリンパ節に刺して細胞を少量採取し、それを顕微鏡で覗いて診断します。
どういう「できもの」の可能性が高いのか
いわゆる「できもの」には、大きく分けると腫瘍と炎症性変化があり、また、腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍があります。「できもの」の細胞診の評価に画像診断の所見を加味して、どういう「できもの」かを推測します。
以上の検査を実施し、肉眼所見、画像診断所見、細胞診所見から総合的に判断して、治療方針を決定します。
治療は、基本的には外科治療が中心となりますが、手術で摘出した「できもの」を病理検査に出して最終的な確定診断を待ちます。
病理診断とは、検体(摘出した「できもの」)を検査して、腫瘍か腫瘍ではないか、良性なのか悪性なのか、という診断をつけるものですが、さらに大事な情報として、マージン(切除した端に腫瘍細胞が存在しないか)や脈管内浸潤(血管やリンパ管内に腫瘍細胞が入り込んでいないか)の有無があります。これによりおおまかな術後の予後や、追加治療の必要性を判断することが可能となります。
口の中は「できもの」が出来ても、なかなか気が付きにくい場所でもあります。口を触られることを嫌がる子も多く、病院でも詳細に観察することが不可能な場合もあります。
しかし、口腔内腫瘍には悪性度の高い腫瘍も多く命にかかわるケースも多々あり、摂食にかかわる大事な場所であるため、QOL(生活の質)が脅かされやすい部位でもあります。早期発見と早期治療により、完治を目指したいものです。
普段から口を触られることに慣れていると、いざという時に役に立ちます。歯周病を防ぐためにも、幼齢時より歯磨き習慣をつけておくことが望ましいでしょう。
今回のセミナーでは、診断過程における思考のポイントや、各種検査の特徴を学ぶことが出来ました。日々の診療に役立てていきたいと思います。