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セミナーに参加しました

  • 院長 山本
  • 2017年2月9日
  • 読了時間: 3分

本日は、診療終了後に半蔵門で開催された外科セミナーに参加しました。テーマは「十字靭帯断裂」で、講師は難易度の高いオペを請け負い全国を駆け回っている中島尚志先生です。いつもこのセミナーは満員で、仕事が終わって駆け付けた熱心な獣医師ばかりですので参加することが良い刺激にもなります。

 十字靭帯というのは、膝の関節中に存在する靭帯であり、太ももの骨(大腿骨)と脛の骨(脛骨)を不安定にならないように繋いでいる構造物です。

 人ではスポーツ選手が怪我をして断裂してしまうことがありますが、身近な人が日常生活の中で「十字靭帯が切れた」という話はあまり聞いたことがありませんよね。ところが、ワンちゃんの場合には十字靭帯断裂は日常の生活の中で比較的多く遭遇します。

 十字靭帯断裂というと、いかにも「強い力が加わって靭帯が損傷して切れてしまった」というイメージが沸くと思いますが、ワンちゃんの場合には、純粋な外傷性の断裂というのは極めてまれです。

 では、なぜ切れてしまうのか?

 十字靭帯はそもそもとても頑丈な靭帯(引っ張っても切れず、むしろ付着している骨の方が折れる位です)なのですが、関節に炎症が持続すると、そこに存在する靭帯は徐々に弱くなっていきます。これを「変性」と呼びますが、この慢性炎症に起因する靭帯の変性こそが十字靭帯断裂の本態であり、靭帯の変性によって靭帯の部分断裂が生じ、ついには完全断裂へと進行してしまいます。これらをまとめて「十字靭帯病」として考えていくことが、この病気の治療もしくは予防に必要なのです。

 十字靭帯断裂は突然起きたようにみえますが、大元の原因である十字靭帯病は徐々に進行する病気です。当初はわずかな跛行(足をかばうこと)から始まります。十字靭帯が完全に断裂していれば診断は比較的簡単ですが、完全に切れる前の段階で見つけてあげることは時として難しく、病態を正確に把握する知識と、しっかりとした診断技術が必要となります。

 十字靭帯が断裂してしまうと機能回復のためには手術が必要となります。手術でかなりの機能回復が見込めます。ただし、十字靭帯断裂に合併して半月板という骨と骨の間にあるクッションが損傷してしまうと手術をしても極端に機能回復が遅れたり、もしくは回復率が低下してしまいます。半月板損傷は十字靭帯断裂で不安定なった骨と骨に挟まれて発症しますから、時間が経つほど合併しやすくなりますので、やはり早期の介入が望まれます。

 「後ろ足をかばっていたけど、なんとなく改善した」というのは、十字靭帯病の始まりかも知れません。早期に発見して関節のケアをしてあげることで、手術が必要となるまでの期間を延ばす、もしくは手術をしないで済ませられる可能性があります。

 特に中年齢以降のワンちゃんで、片方の後ろ足をかばっているという時には注意が必要ですので、早めの受診をお願いいたしますm(__)m

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