本日は診療終了後に入間の埼玉動物医療センターで開催された学術セミナーに参加しました。テーマは「僧帽弁閉鎖不全症に対する内科治療と外科治療の適応」です。
講師の先生は、JASMINE動物循環器病センター(http://www.jasmine-vet.co.jp/)の水野壮司先生で、実は院長の大学の同級生でもあります。JASMINE動物循環器病センターは動物の心臓手術で実績を伸ばしている病院で、海外でも依頼手術を行っています。同期が世界で活躍している姿は嬉しくもあり、また、自分もさらに頑張らなければと刺激になります。
僧帽弁閉鎖不全症(http://dog-heart.info/index.html)はワンちゃんで最も多くみられる心臓疾患で、進行に伴い心不全症状がみられるようになります。 これまで獣医学領域では内科治療がメインで実施されてきましたが、近年、外科治療の実績が積み重ねられ、治療の選択肢として確立されつつあります。
今回のセミナーでは、僧帽弁閉鎖不全症の病態と内科治療、さらに外科治療の概略と適応について学びました。 内科治療で維持できなくなったワンちゃんが手術で一命をとりとめられるケース、数多くの薬を毎日飲んでいたワンちゃんが薬を飲まなくも大丈夫になるケースもあり、手術のメリットは計り知れないものがあります。しかし、手術は人工心肺を使用した開心術ですから周術期は非常に慎重な管理が求められます。エキスパートによる治療ですが、合併症を完全に防ぐことはできません。数パーセントですが、残念ながら術後合併症により亡くなってしまうケースもあります。
正確な病態の把握とタイミングが手術を検討する上では重要となります。僧帽弁閉鎖不全症と診断された場合、手術も選択肢の一つとしてご提案するケースもあると思いますが、より良い医療を提供できるようアップデートを続けていきたいと思います。